南座 顔見世~!!

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先日、『顔見世』を観にに行ってきました!!!
(今回は歌舞伎のこと、着物のことなど書くので長文ですー。ご了承ください!)
顔見世は毎年、年の瀬に行われる歌舞伎のビックイベント。
東西の人気役者が顔をそろえるオールスター公演なので『顔見世』といいます。
私は4年前に初めて顔見世体験して以来、4度目の顔見世。
昨年は中村勘九郎 改め 勘三郎 襲名披露公演で勘三郎の狐に魅了されました。
一昨年は中村鴈治郎 改め 坂田藤十郎 襲名披露公演で十八番の『曽根崎心中』を見て複雑な気持ちになったりしました・・・。
その前年は観ていないのですが、市川海老蔵の襲名披露公演で人気役者の襲名披露が続いていました。
その前年、初めて顔見世を観たときには誰の襲名披露もなかったかな?と思うのですが、ともかく片岡仁左衛門と玉三郎の美しさに見とれました。

いろいろと忙しくて目の回る毎日でしたが、張り切って着物で出かけました。
実は少し前から着付を習っているのです。
直前まで「着物でいくのも面倒だし、洋服でいっか」と思っていたのですが、顔見世に行く直前に着付け教室があり、「やっぱり着たいなぁ」と思って急遽、先生にお願いしたのでした。
でも本当に急にお願いしたのでいろいろと小物が揃っていないことが判明!
これまで、着物を着るときは実家の母が全ての道具を揃えて送ってきてくれていたので、私はそれをそのまま持って美容院にいくだけだったのです・・・。
いまさら、準備が大変だっただろうな、と母に感謝しました。
「着物を着る!」と決めてから公演まで3日しかなかったのでその間にいろんな合間をぬってはこまごまとしたお買い物をしました。
帯締めや帯揚げを考えるのってたのしいですねぇ。
今回着た着物は数年前に大学院を修了するときにも着た大好きなものです。
母がお嫁入りのときに誂えたという『牛首紬』。
紬に木の葉模様を染めた凝ったものです。
って、あんまり私は分かっていないのですが、ほかにも母が遺してくれた着物がいくつかあるので着物のことも勉強しながら大切に着ていきたいと思っています。
押さえた色調ながらも全面に木の葉が染められたこの牛首紬にオーロラみたいな色合いの名古屋帯を合わせました。
前回着たときはグリーン系の帯締めと伊達襟を合わせ、帯揚げは黄色系にしたのですが、今回は帯締めも帯揚げもすこし金色がかったベージュ系にしました。
先生のアドバイスに従って伊達襟はしませんでした。
ちょっとしたことで雰囲気が変わるので、こういった細かなことを工夫できるところが着物のたのしさですね。
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無事に着物を着付けてもらって出かけた今年の顔見世、一番の楽しみは松本幸四郎の弁慶を観ることでした。
でもそれだけではなく、今年の演目は全て好きなものばかりでしみじみと感動しました。
顔見世ではたくさんの演目を長時間にわたって上演するのですが、今年の午前の部では4つの演目が上演されました。
まず最初は『将軍江戸を去る』。
徳川慶喜が大政奉還をして江戸を去っていくときを描いたもので、派手さはないものです。
演じる役者さんたちもスター役者はいなくて、全体的に地味な印象なのですが、これがよかったです。
昭和になって書かれた作品で、古くから伝わっている演目とは違った現代劇に通じる雰囲気、台詞回しでした。
最後に慶喜が言う「新しい日本の幕開けなのだ」というような台詞があり、しみじみと未来への希望を感じる余韻の残る芝居でした。

次の演目は『勧進帳』!
こちら、『歌舞伎といえばこれ!』というくらい見せ場の多い、華やかで盛り上がる内容でした。
松本幸四郎の弁慶も迫力があって、錦之助の富樫もすっと爽やかでした。
義経役は藤十郎だったので「体形がちょっと・・・」とも感じましたが、自分を守るために弁慶が自分を殴ったことを許すシーンなど、しみじみとよかったです。
最後に弁慶が劇場を見渡しながら踏む飛び六方も豪快でよかった!
飛び六方を踏みながら花道を帰っていくのですが、今回は花道が見える席だったのでよかったです。
前回は花道が少ししか見えなくていろいろと見逃して残念でした。
「これぞ歌舞伎!ていう演目だったねぇ。やっぱり勧進帳はおもしろいねえ」とメインを観終えた気分でお弁当を食べたのですが、このあとの演目がすごかった。

3つ目は義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)の『すし屋』だったのですが、これが複雑な人情話でした。
源平の戦いと関連させつつ、親子の情についても描いていました。
ここでの主人公、『いがみの権太』というチンピラの役を尾上菊五郎、その妹役を菊五郎の息子の尾上菊之助が演じていました。
ちなみに菊之助のお姉さんは寺島しのぶです。
前にも尾上親子の競演を観て、そのときも確か父はチンピラ役だったのですが菊五郎、そういうのが上手なんですね。
普段の姿からすると、もっと二枚目役の多い人かと思ってました。
菊之助はいつもとっても綺麗。
ストーリーを少し・・・、と思いましたが長くて複雑なお話なので『少し』では終わりそうにないです・・・。
簡単に言うと・・・、できの悪い息子、権太(菊五郎)を持ったすし屋のおじいさんが昔の恩返しをするために源平合戦から落ち延びて(逃げて)きた平家の武将 維盛(これもり)を助けようとしていた。しかし、それを知った権太が「一儲けしてやろう!」と言いのこして家を飛び出したため、権太の父も母も妹も「権太はひどいやつだ!」と思ってハラハラしていた。そこへ平家の役人たちがやってきて咎められ、困っているところへ権太が「維盛の首を持ってきた!維盛の妻と子も縄で縛ってきたぞ」と役人に差し出した。それを見た権太の家族は怒りに震え、平家の役人は当初は本物かどうかを疑っていたものの、権太の極悪人振りに維盛の首とその妻子は本物だと判断して褒美を渡して帰っていく。役人たちが帰った途端、権太の父は怒りから権太を刺してしまう。でも実は、権太は別の人物の首を維盛そっくりの髪型にして役人に差出し、その妻子として差し出したのは権太自身の妻子だった・・・。権太は父に「いつか自分を許してほしい」と思っていたのだと話す。「どうしてもっと早く改心しなかったのか?」と問う父や母、妹に「改心していたら平家の役人はあの首を偽者だと見破ったさ」と言い、家族に見守られて息を・・・。
というお話。
「そんなぁ~!そこまでしなくてもぉ」と思ってしまいましたが、複雑な人情を小気味いい台詞でテンポよく描いていて、観終えてからも「んん~」と唸る芝居でした。

「今年の演目はどれも好きだねえ」と話していたら、最後がまた・・・!
最後は『二人椀久(ににんわんきゅう)』という長唄舞踊。
台詞は長唄で語られ、役者は一言も発しません。
私、舞踊を観ていると必ず眠くなるので不安だったのですが、今回はたまにうとっとしつつも(!)その美しくてはかない世界に引き込まれました。
演者は大好きな片岡仁左衛門
昔々、片岡孝夫という名前でめがねのコマーシャルにでていて「綺麗で上品なおじさんだなあ」と思ってみていました。
その仁左衛門、はまり役は『遊び人の若旦那』みたいです。
弁慶のような『荒事』も得意だそうですが、私は放蕩息子でしか観たことがないです。
でもほっそりしていて品があって二枚目で、ぴったりなんですよね。
今回も放蕩息子の役なのですが、これまでよりもとてもはかないお話でした。
たいてい、放蕩息子は花魁(おいらん)や芸者に熱を上げすぎて散財して、家業を傾けてしまってるのですが、今回の主人公 椀屋 久兵衛(わんや きゅうべい)略して 椀久もその一人。
でも彼の場合、家業を潰しそうになったために家族に座敷牢に閉じ込められてしまい、発狂してしまいます・・・。
ある日、恋しい遊女(片岡孝太郎)を想いながら座敷牢を抜け出してまちを彷徨い、浜辺にでます。
松の生い茂る浜辺で遊女を想っていると、遊女の幻影が現れます。
そして、夢うつつの中で遊女に自分の羽織を着せて踊ります。
この間、どちらの役者もあまり表情を変えません。
ただただ、寄り添ったり離れたりしながら舞い続けるのです。
その間の演出が素晴らしかった。
まず、真っ暗な中から少しずつ少しずつ舞台が見え始め、月が見えます。
そこに椀久がやってきて少しほの明るくなります。
それでも舞台全体は見えず、少し紫がかった寂しい暗闇が広がっています。
そこに舞台奥から遊女がふわっと現れ、また少し明るくなります。
気がつくと、いつの間にか松の手前に美しく咲き誇った桜が現れています。
そして舞い、舞い、舞い続るのですが、徐々に遊女がいなくなるそぶりを見せ始めます。
松の幹を軸にして行ってしまいそうになったりしながら、最後は花道を抜けていきそうになり、それを椀久が止め、羽織をつかんでいたのに、遊女はその羽織をはらりと脱いで舞台奥へと去っていってしまいます。
そして満開だった桜がいっぺんにはらはらはらはら~、と散ってしまう中、遊女は消えていってしまいます。
そして気づくとそこには松の木があるだけ。
椀久が悲しみにくれるところで幕が下りるのでした・・・。

・・・。なんて哀しいのでしょう。
でもなんとも美しい世界でした。
ちなみに椀久は実在の人物をモデルにしているそうです。
心中話といい、歌舞伎はいろいろと実際に巷を騒がせたことを題材に描かれた演目が多いですね。

全てを観終えてから「今年のはよかったなぁ。『椀久』が素晴らしかった。それに『すし屋』もよかった。最初の慶喜もよかったなあ。あれ?もうひとつは何だったっけ?」と勧進帳を忘れてしまうくらい、好きな演目つづきでした。
あまりに素晴らしかったので、もう1回観にいけるといいなぁ、なんて思ってます。
チケットがあまりなさそうだけど。
もしいけそうだったら自分でささっと着付して着物で出かけられるとよいのだけど・・・。
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by ayats29 | 2007-12-15 03:19 | 京都
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